2001.3.1

第一部〜工事編〜 その6

◆始まりの終わり(工事編完結)

 9月25日(月)にジジイと今後の工事について話し合うため、あらためて工事の個所をチェックした。
 そしてそのチェックの結果をまとめてこちらの要求を盛り込んだ書類を作成しなければならない。
 デジカメで欠陥個所(全部なのだが)を撮影しパソコン上でレイアウトしていく。大変虚しいDTP作業である。工事個所ごとに項目分けした後、数枚ずつ写真を配置し箇条書きでダメなところを列挙していく。

 書類の趣旨としては、写真入りでジジイが手を入れた部分が全て欠陥であることを明白にすることによって、ジジイにまず以下の点を認めさせることにある。
 ○ジジイが技術的に、プロの工務店として通常期待できるレベルにほど遠く、極めて劣悪であること
 ○一般人が一見して欠陥と判断できる工事を、OKと認識してしまう価値基準の異常さ
 次に、ジジイがろくな養生もしていない点や土足で住居内を歩いたことを指摘し、
 ○ジジイに一般社会人としての通常のモラルが欠如していること
 も指摘する。
 以上のことから最終的に、
 ◎ジジイには根本的にこの工事を遂行する能力がなくまた信頼をすることもできないため、これ以上ジジイに残りの部分ややり直しなどの工事をさせることはできない。が、ジジイは工事を引き受けて壁に穴を開けたりしているわけだから、工事はジジイの責任において必ず完遂してもらわねばならない。よって、
 1.ジジイが全く別の業者に下請けに出して全面的に工事をやり直し、かかった費用を負担する。
 2.私が別の業者にやり直し工事を依頼し、かかった費用をジジイに請求する。
 以上、1、2のいずれかを選択すること(選択した方の番号に印鑑をおさせる)

 をジジイにせまるのだ。
 ちなみに、1、2いずれの場合でもジジイには当初の見積り分は支払うということにしてある。

 書類は17ページにおよび、ジジイの分と私の分と2部プリントした。このあたりから、いざというときには法的手段をとる覚悟をしつつあったので、書類は有力な証拠となるように第三者がみてもジジイのひどさがわかるよう写真をたくさん入れ、ジジイに印鑑を押させるつもりであった。
 9月25日(月)になり、ジジイがすっぽかさないよう電話で呼び出す。書類を見せてまずジジイに欠陥だらけだということを示す。が、ジジイはこの期に及んで、「気に入らないところは直すよ?」などとズレたことを言う。私は早くも「顔に縦線」である。
 私:「直すって言ってもね、『ほとんどOKで一部だけマズイところがある』、っていうならともかく、『手を入れたとこを全部マズイ』んだから直せるわけないでしょ?」
 ジジイ:「いやぁ、うちには職人いくらでもいるんだから、すぐ直るよ。」
 私:「じゃあ何?ちゃんとやれるのに、手を抜いてこんな工事したんだ?」
 ジジイ:「いや、誰がやったってこんなもんだよ
 私:「じゃあダメなわけでしょ!」
 ...くっ、思い出しても情けないやり取りである。さらに。
 私:「大体ね、こんなヒドイ工事の上に、日程にはずいぶん余裕があったのに完成もしてないってのはどういうことなんです?途中で何度も確認したけどその都度『大丈夫』って言ってたでしょ?」
 ジジイ:「おらぁ『大丈夫』なんて一度だって言ってないよぉ」
 私:「冗談じゃない!聞くたびに『大丈夫』とか『任せとけ』とか言ってましたよ」
 ジジイ:「いやぁいった覚えないよ、大体仕事なんてそんな甘いもんじゃないんだから!
 私:「????」
 ジジイ:「そんな『いついつまでにできる』って言ったからって、そのとおりにできるもんじゃないんだ!」
 ...コントの領域に突入してしまった。私に相手をさせないでいただきたい。もちろん私は、「甘いのはあなたの方であり、納期はまもらなくちゃいけない。どうしても間に合いそうになかったら、その見込みが立った時点ですぐ報告・相談するべきであり、納品当日に『間に合いませんでした』っていうのは世の中では通用しない」ということを教えてあげた。

 ともかくも、書類に印鑑を押させることに成功した。ジジイはその場には印鑑を持ってきていなかったので一旦事務所に戻りそこで印鑑を押して持って帰ってきた。よって、脅迫的な状況で無理やり押させた、などといういい訳もできない。
 そして、ジジイは2番の選択肢を選んだのであった。

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