2001.4.29

第三部〜回収編〜 その1

◆回収に向けて

 2月10日(土)に判決が届き仮執行宣言付きの勝訴判決を受ける。ジジイの自宅に偵察に行ってみることにする。...とここまでは訴訟編の最後に書いたとおりだ。
 
 さて、ジジイ宅に行ったところ留守のようだ。まあいつものことである。呼び鈴を押しても出ないし、ドアノブにはイエローページが袋に入ってつるされたままである。ジジイの自宅は家からごく近いので出直すのは対して苦にならない。この週末は12日(月)が祝日の振り替えで3連休になるので娘のところにでも行ったのかもしれないと思い、また連休明けにでもヒマを見つけて行ってみることする。
 ところがジジイは週明けになっても戻っていないようだ。イエローページが下がったままなので留守かどうかの判断はつけやすい。しかし、いつ帰ってくるかわからないジジイをつかまえるために毎日偵察にいくのもバカらしい。なにやら部活の先輩に告白するチャンスを伺っている女子マネージャーのような風情でもある。
 
 ジジイの自宅は最寄駅や駅前の商店街に行くときにでもチェックするとして、方針を差押え&強制執行に切り替えることにする。とはいえ、以前仮差押えで自爆したことでもわかるようにジジイの財産がわからない。差押えを考えるならやはり自爆覚悟で行うことになる。以前は駅前に支店がある都市銀のT銀行の口座を仮差押えしたがダメだった。しかし、ジジイが今の世の中で暮らしている以上、口座を持っていないとは考えにくい。実はT銀行よりもジジイの家から近い場所に郵便局があり、仮差押えのときも郵便貯金を見込みで押さえるか迷った経緯がある。差押えるとしたら郵便貯金を見込みで押さえるか、あるいは動産(家財)差押えか、ついでに電話加入権とかその辺になるだろうか。
 ちなみに、差押えの際には供託金は必要ない。既に私の債権が明確なものとなっているからだ。とは言っても切手・印紙などで数千円単位のお金がかかる上に書類作成などの手間がかかる。とりあえず差押えをするかどうかはともかく手続きだけは調べておくことにする。具体的には第三債務者(この場合郵便貯金を管理している団体)が誰なのか、という点が一番の謎である。ネットで調べてもよくわからなかったので、面倒だが裁判所に行って情報を収集することにする。
 
 差押えなどの強制執行については、今まで何度も通って今や全く抵抗感のなくなった簡易裁判所ではなく、お隣の地方裁判所になる。不思議なもので「裁判所」という点では同じでも初めて足を踏み入れるときというのはなにやら緊張する。
 まず、動産差押えの係に行ってみる。ここでは、家財で差押えできないもののリストを見た。結構驚いた。衣類、ラジオ、冷蔵庫などはわかる。テレビもこの際よしとしよう。しかし、ビデオ、レンジ、オーブントースターなどまでダメだというのはちょっと納得いかないものがある(註:2台目以降はよかったと思う)。一見してジジイには動産差押えは無理そうだと感じたのでこのリストの内容はやや曖昧なのだが、私の記憶では「裕福」といってよい程度の家でなければ動産差押えの対象になるようなものはなさそうである。なんだか矛盾を感じつつ動産差押えの係の部屋をでる。
 次に債権差押えの係に行ってみる。こちらの窓口は随分混みあっている。こちらに来て動産差押えの窓口が非常に空いているのが比較としてわかる。...そうだろう、動産差押えは普通は無理だろうから...。

 
 こちらには銀行でおなじみの番号札を発行する機械が置いてあったのでとりあえず番号札を引いて待つことにする。廊下には長椅子と長テーブルが置いてあり、テーブルの上には色々な書式のサンプルを収めたファイルがあった。待っている間、そのファイルを覗いていると電話加入権の差押えの申請書のサンプルがありなかなか参考になった。しかし、意外だが郵便貯金の差押えについては見つけることができなかった。
 そうこうしているうちに私の順番が来た。郵便貯金と電話加入権の差押えを検討しているが、サッパリわからないので教えて欲しいということを伝えると、係の人は大変親切に教えてくれた。親切すぎて覚えきれないほどである。とりあえず、郵便貯金の第三債務者に関しては「貯金事務センター」になる。東京在住の人の郵便貯金は、普通貯金が「東京貯金事務センター」で定期貯金などが「長野貯金事務センター」だったと思う。ジジイの場合かなりの年配なので定期貯金はないのではないかと推測する。押さえるなら東京貯金事務センター(=普通貯金)中心で、いくらか長野貯金事務センター(=定期貯金)に振り分ける線か。当然ながら押さえるにしても両方合わせて債権額までしか押さえることはできないのである。
 やや考えはまとまらないものの手続きのやり方は概ねわかった。まあ、ジジイと話してどうにもならないようならやってみるしかないか。

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