2001.4.29

第三部〜回収編〜 その2

◆ジジイ逃亡

 どうもおかしい。ジジイが帰らないのだ。何度かジジイの家の前を通ったがイエローページは下がったままで、郵便物もたまっている。不審に思い電気メータを見ると、どうも止まっているようでもある。呼び鈴を押しても呼び出しの電子音がならない。間違いない、電気が止まっている。ジジイめまさか逃げたのか?帰宅してジジイ宅に電話をかけてみると「おかけになった番号は、現在使われておりません...」のメッセージが流れた。どうやら確定だ。ジジイは逃げた。しかし、普通に考えれば90万円程度の金額で家を捨てて逃げるというのは考えにくい。おそらくは、他にも多額の借金があると判断できそうだ。むう、何度目の願いかもはや覚えていないが、ともかくジジイ死んでください。
 
 さて困った。さらに推測すると多額の借金を抱えてジジイが逃げたとすると、当然預貯金も期待できない。差押えの線は難しそうだ。いやそれよりもジジイ本人と連絡が取れないのが痛い。どうしたものか...。
 そうだ、確か以前ジジイの財産を調べるにあたってジジイの事務所兼自宅の登記簿を取ったが、その中にジジイの娘と思われる人物に贈与している記述があった。そこに、娘と思われる人物の住所も記載されていた。住所から電話番号を調べてここに連絡を入れてみよう。住所を見ると「茨城県鹿島郡...」と書いてある。鹿島「郡」?鹿島は「市」ではなかったか?...どうも昔の住所らしい。今現在の住所はどうやったらわかるのだろう?調べようはあるのだろうが少々行き詰まりを感じる。
 
 そんなことをしているうちに判決がでてから2週間が経過した。これでやっとあのばかばかしい仮差押えの供託金を返してもらうことができる。回収の方が早くも一頓挫しているような状況なのでとりあえず供託金の返還の方をやっておくことにしよう。
 「債権仮差押取下申請書」というのを作り2月28日(水)に簡裁の保全係に持っていく。今やこの手の書類を持っていくときはまず添削をしてもらうぐらいの感覚だ。余談だが、この仮差押えに関する手続きで最初から色々お世話になっている事務員さんは女性の方で、東北方面と思われるイントネーションを若干含んだ話し方をする方だ。その辺が愛嬌になっているのと、見た目私とさほど年齢差が無いように思われるのとで私にとっては非常に話しやすい。今回も書類を見ていただき、その他揃えるべき書類など丁寧に教えていただいた。
 供託金の返還を受けるためには、債権仮差押取下申請書の他、「担保取消決定申立書」、「供託原因消滅証明申請書」というものを作成し、さらに裁判の担当書記官に「判決確定証明」を発行してもらう必要があるそうだ。担保取消決定申立書と供託原因消滅証明申請書はフォームのサンプルがあったのでコピーをいただき、さらに担当書記官に判決確定証明のことを聞きにいく。
 
 またもや余談だが、裁判の担当書記官の方も女性でやはり私と似通った年齢だと思う。前述の保全係の事務員さんよりはそっけない感じで、少々疲れた感じもある上に飾り気が無いのだが十分美人の範疇にはいると思う。この辺の記述まったくもって本編とは無関係である。
 で、その担当書記官に判決確定証明のことを聞くと、やはり申請書のフォームがあるとのことで、印紙150円分を地下の売店で購入した後、すぐに申請書を提出することができた。これは発行までに数日必要になるので準備ができたら連絡をくれるということだ。
 ちなみに裁判所に何かを申請する場合など、請書(うけしょ)というのを提出することがある。これは、何かの申請をしてその申請がおりたときにそれを申請者が請けたということを示すものだ。なので、当然申請がおりてから提出するべき性質のものなのだろうが、大抵申請時に一緒に提出するよう言われる。この辺形骸化しているように思われるのだが、トラブルがない限りにおいてはその方が申請する側もされる側も手間が省けてよい。けれどもお役所の手続きにしては意外な感がないでもない。
 ということで、仮差押えを解除し供託金の返還を受けるのは判決確定証明ができてからのことになる。

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