2001.3.10

第二部〜訴訟編〜 その4

◆行動開始

 10月11日(水)に内容証明郵便を出して5日が経過し、10月16日(月)になった。内容証明は速達にしたので届いていると思うのだが配達証明が来ない。どうなっているのかを郵便局に電話で問い合わせてみる。
 すると、配達したときに相手が不在であり、同じ日に時間をずらして再度配達しにいったがやはり不在であったそうだ。なので、近くの郵便局であずかる旨通知をいれておいた、ということであった。通知をおいてから3日〜4日経過するがまだ受け取りにきていないのである。郵便局では1週間保管した後、差出人に返送するのだ。

 おそらく見込みとしてはジジイが受け取りに行くとは考えにくい。
 そこで次の行動を考えておこうと思うのだが、具体的に何をどうするべきか判断がつきにくい。
 例えば、訴訟を申し立てるにしてもどこの簡易裁判所が管轄なのかもよくわからない。
 この5日の間に自分で訴訟を起こした人の体験記などをネットで探して読んだりもしたのだが、いざ我が事に置き換えて見ると案外どうしたものかわからない。内容証明を出したことで何か進展があるかも、という甘い期待もあったので頭が鈍っているのか。
 ともかく何か動くことだ。動いているうちに道が見つかる(かもしれない)。
 そう自分に言い聞かせ、とりあえず比較的うちから近いと思われる中野簡易裁判所に電話をしてみる。中野簡易裁判所に電話をかけて「家屋の改築で業者とトラブり、訴訟を考えているがどうしたものかよくわからない」などということを率直に言ってみた。
 すると、管轄が霞ヶ関の東京簡易裁判所になるということと、東京簡易裁判所内にある「受付相談センター」という機関を教わる。おお、相談に乗ってくれる場所が裁判所の中にあるのか!と考え幾分気が楽になった。

 早速、霞ヶ関に行き東京簡易裁判所に行って見る。もちろん、そのとき用意できる資料を持参していった。私は裁判所に行くのは初めてだったので、少々の緊張感と知的好奇心によるワクワク感を感じていた。受付相談センターは東京簡易裁判所1Fの隅のほうの目立たないところにあった。なんとなく献血センターといったような趣きがある。
 受付相談センターは結構人でにぎわっていた。中は7つか8つ程の窓口があり、銀行にあるような順番待ちのカードをひいて自分の番が来るのを待っている。その間に「相談カード」みたいなものを記入しておくのだ。相談カードには係争の内容の簡単な説明などを書いておくのだ。

 しかし、平日の夕方に結構相談者がいたので「世の中にはトラブルが多いのだなぁ」などと考え、また、見も知らぬ相談者たちにほのかな仲間意識のようなものを感じたりもした。私の番になり、一番奥の女性の相談員の窓口に行った。事情を説明し、写真入りの書類を見せ、内容証明も届かない可能性が高いことを伝えた。
 ここで、実は私は大きな勘違いをしていたのだ。この「受付相談センター」という機関のことを私はてっきり無料法律相談のようなものだと思っていたのだが、そうではなかったのだ。受付相談センターというのは訴状のチェックをしてくれたり、書き方を教えてくれるところだったのだ。
 なので、私が最初にいただいたアドバイスは「訴訟を起こすのは、内容証明郵便が届かなかったことがはっきりしてからにしたらどうでしょう?」というものだった。
 少し話しをしているうちに私の勘違いにお互い気がついたのだが、相談員の女性は相談に乗ってくれた。本来裁判所の職員などは公平な立場でなければならないので具体的なアドバイスはしてはいけないらしいのだが、以下のようなことを話してくれた。
 「現状では和解や示談というような方向での話の流れになっているけれど、契約解除・損害賠償請求といった方向で進めることも選択肢にいれてみてはどうか」ということである。
 ハハァ、ナルホド。今まで私はジジイに印鑑を押させた書類の内容を守らせようと考えていた。訴えるにしても、その線でいっていたであろう。が、例の書類にはジジイが支払うべき金額が明記されていないことが気になっていたので、「契約解除」・「損害賠償請求」というのは考えてみる価値がある。
 ちなみに、この相談員さんは前述の「立場」の問題で、「契約解除」とか「損害賠償請求」とかのキーワードを最初教えてくれず、「示談とかじゃなくて“別の方法”を考えてみたらどうかと思うのよね」などとビミョウな言い回しをしていたのだが、なんとか教えてもらったのであった。

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