2001.3.17

第二部〜訴訟編〜 その7

◆新事実発覚

 新宿での法律相談では前回書いたことの他にも有意義なことを教えてもらった。訴訟の相手の名義のことである。
 前回、相手の財産を調査して仮差押えしてから訴訟をおこすのがよい、ということを書いた。ここで、「株式会社K工務店」名義の財産と「ジジイ」名義の財産を調査し、より見込みのありそうな方の財産を仮差押えた上で訴訟をおこすことを勧められたことを追記しておく。
 工事の契約は「株式会社K工務店」と取り交わしているので、普通に考えれば仮差押えおよび訴訟の相手は当然「株式会社K工務店」になるはずなのだが、「株式会社K工務店」が事実上ジジイの個人経営であるような場合には「法人格否認の法理」というのを適用できるらしく、「株式会社K工務店」ではなくジジイを相手に各手続きを取れるらしい。

 ともかく、K工務店の事務所の土地・建物の所有者を調べるため登記簿謄本と、ジジイの自宅の住所・電話番号を調べるための手ががりとしてK工務店の登記簿謄本を取得することにする。
 10月23日(月)、担当地域の法務局出張所に上記書類を取得するために家内にいってもらう(私は仕事の都合でいけないので)。
 この日、事務所の土地・建物の登記簿謄本は取れなかった。というのは、K工務店の事務所が建っている土地というのは広い地番の中にいくつもの建物が建っており、K工務店の事務所が建っている場所を特定するのが法務局出張所の地図では困難だったからである。土地・建物の登記簿を申請する場合には通常の住所で申請するのではないのである。

 が、K工務店の登記簿謄本を申請することにより衝撃の事実が発覚する。
 「株式会社K工務店」が登記されていないのである。
 何年か前からそういった情報はコンピュータで管理されているのだが、少なくともコンピュータにはインプットされていない。それ以前のことは台帳で調べることができるのだが、株式会社はおろか有限会社、合資会社などで調べても、登記・移転・抹消いずれも「株式会社K工務店」という名前は存在しない。
 回りくどかったが、そう、K工務店は株式会社を偽称しているのだ。これにはタマゲタ。
 だが...これって...もしかしたら、民事事件ではなく刑事事件として告訴できるのではないだろうか?
 よくわからないが、詐欺とかあるいは何か別の罪に問うことができそうな気がする。そもそも、株式会社を偽称して営業をしていること自体間違いなく違法であろう。
 ここで一応お断りをいれておくが、私は別にジジイを刑事告訴したいのわけではない。いや、知的好奇心の観点からいえばしてみたい気もないわけではないが、私の意図は「刑事告訴が可能なら、それを交渉の材料として使うことによって裁判をせずにカタをつけられないだろうか」ということである。
 具体的にいうと、「契約解除に応じて半金の変換及び損害金の支払いに応じれば、お宅が株式会社であろうとなかろうと契約関係が存在していないのだから私にはどうでもいいことだけれど、応じないのならば、こちらは被害者になるわけだから告訴しますよ」ということである。念のため補足しておくが、これは別に恐喝・脅迫にはあたらない。
 この考えが成立するのならば、「ない袖は振れない」者にはかなわない民事訴訟よりもプレッシャーをかけられるであろう。大抵の人は犯罪者になることよりは支払いを選ぶにちがいない。
 何にしても法的な根拠に裏付けられないと意味はない。
 よって、翌10月24(火)に再び新宿の夜間法律相談にいくことにする。

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