2001.3.30

第二部〜訴訟編〜 その8

◆似て非なるもの

 10月24(火)、新宿の夜間法律相談に午後5時の予約をいれる。先日の相談のときは予約がかなり入っていたようだったが、今日はすいているようである。

 法律相談は午後5時からだが、その前にA社が現状の工事の問題点などをピックアップしてくれた。訴訟になったときに技術的なこともわかっていた方がよいので私がお願いしていたのだ。
 ただ、こういうのはデリケートな問題で、施工業者が「ウチではこういうやり方なのだ」と言いはればその工事の問題点を追及しにくいらしい。それでも、今回の場合はあまりにもあんまりな状態なので、問題点のピックアップを引き受けてくださったようだ。
 その一部をあげると、
・壁の開口部に枠をつけるのに、開口部に直接釘を打ち付けている点。通常は開口部の切断面に木を埋め込み、その木に枠をとめるらしい。しかも、いまどきは釘を使うのも珍しく、多くはビスを使うそうである。また、ビスなどで留めた部分でもその場所がわからないように埋めたりするものだそうだ。現状では無計画に釘を打っているように思われる。そもそも、フローリング材を使ったりしており、材料・工法など問題が見受けられる。
 他にも図入りで色々説明してくださったのだが割愛させていただく。
 今は外側から見ただけの推測を含んだチェックだが、やり直し工事で解体するときに事実が明白になるであろう。

 さて、法律相談である。
 法律相談はいつも同じ弁護士さんが担当しているわけではない。今日の弁護士さんはこういう法律相談は初めてらしい。係員に「私、ココ初めてなんですけど」などと心細いことを言っている。やや心細く思っていたが実際に相談が始まると親身に話を聞いてくれ色々考えてくれている。
 この日は、
 ・ジジイのしたことが刑事告訴できるようなものなのかどうか
 ・できないとしたら回収のためのよい手段はないものか
 という点を聞く。
 まず、株式会社の偽称が刑事罰の対象になるか、という点であるが、これは結論から言うとならないのだ。会社の偽称自体はもちろん違法なのだが、それに関する規定は刑法でなく商法に記されている。しかも過料10万円というおそるべき軽さである。ちなみに過料というのは金銭の行政罰のことであり、金銭の刑事罰だと科料とか罰金になるらしいがややあやふやである。ここで勉強になったのは「違法=犯罪」ということではない、ということである。
 では、私が工事を依頼する際の判断基準として株式会社であるという点を(社会的信用の面で)重視していたのに、株式会社は偽証であり半金を受け取って歴史上まれに見るひどい工事をされた、ということが詐欺などにならないか聞いてみた。こちらはやや微妙であるようだが、今日の弁護士さんの判断では難しそうな様子だ。
 それでも、それを「詐欺的な行為」として交渉の材料に使うのはやってみたらどうかということだ。
 
 交渉でうまく事が運べばよいが、いよいよとなったらやはり仮差押えした上で訴訟を起こすことになる。今回の相談では、口座の仮差押えは口座番号までわからなくてもよく、口座のある銀行がわかればよいということを学んだ。さらに言うと、口座があるかどうかわからなくても「見込み」である銀行に対して仮差押えをしてみることができるそうだ。また、電話加入権も2、3万円程度にしかならないが押さえることができるらしい。
 
 とりあえずもう一度なるべく冷静にジジイと交渉してみて、それでもダメなら法的手続きに入ることにしよう。

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