2001.4.10

第二部〜訴訟編〜 その9

◆ジジイまたしてもボケる

 法律相談の翌10月25(水)の昼頃ジジイに電話を入れてみる。もちろん交渉のためだ。
 話が前後して恐縮だが、その前に私は都庁に電話をいれてみた。ジジイが建築業に認可を受けているかを確認するためである。確認の結果、思ったとおり建築業の認可も受けていない。ただ、建築業の認可に関して、今回の私の工事については何も法的に問題にすることはできない。確か500万円以下の工事なら無認可でも法的には問題ないのだ。
 しかし、工事編その1で書いた15年ほど前の工事に関しては違法である。これは刑事罰が規定されているので犯罪行為である。が、既に時効になってしまっている。なんとも残念である。
 
 さて、ジジイへの電話である。ジジイの事務所はやり直し工事の見積り額の連絡をいれてからというもの滅多に連絡が取れなくなっていた。このときも「FAXの方はそのまま送信してください、電話の方は後ほどおかけ直しください。」という内容の留守電であった。余談だが、電話にでないときの状態としてはこの他に「留守にしておりますので、後ほどおかけ直しください。(註:FAX関連のメッセージなし)」と留守電にもなっていない場合の3パターンである。
 今回はFAX関連のメッセージありだったので、書類を作りFAXで送ろうとも考えるが以前FAXを送ったときに、「白紙ででてきた」などとオモシロイことを言われたことがある。ここはひとつなんとか会話で交渉したい。もちろん交渉の内容は録音しておくつもりだ。ここでジジイが支払う意思を示せば後で反故にされても裁判で有力な証拠になる。一応、留守電に努めて下手(したて)に出てメッセージを吹き込んでおく。

 その後数十分してからかけなおすとジジイが出た。この時期にあってはジジイが電話に出るというの奇跡に近い。イヤな奇跡ではあるが。
 私は不本意ながらも辞を低くして交渉を始めた。交渉の方針としては、まず条件を軽くしたりジジイの言い分も聞いたりしながら温和な話し方でジジイが了承しやすいように交渉する。それでダメなら、株式会社の偽称、建築業無認可などの話をだして交渉する。てな感じでいくことにしよう。
 まず、条件は、
 ・工事代金の内金45万円のみの返還でよい。
 ・返還は分割でよい。
 ということにした。以下、「45万円のみの返還でよい」という話をした後に続く会話の一部。
私「...45万円といえば、ウチなんかにとっては大金なので、●●さん(ジジイのこと)の方でもあるいは一括でお支払いいただくのは大変かもしれないと思うので、分割でも構いませんがいかがですか?。」
ジジイ:「ん。わしもそう思っていた。そういうことなら弁護士に和解できたと話しておくよ。」
 “ええぇ!?払ってくれるの?マジ!!”←私の心の声
私:「じゃあ、月5万円ぐらいでどうですか?」
ジジイ:「ん。それでいいよ。」
私:「お支払いはどうします?振込みにします?」
ジジイ:「ああ、振込みでいいよ。ちゃんと支払ってくれるなら。」
 ン?
私:「...支払うのは私じゃなくて●●さんですよ。」
ジジイ:「え?な、なに?じゃあオレの見積りはどうなンの?」
 まったく疲れる。確かに話しがうまく進みすぎるとは思ったのだ。
私:「いや、どうにもなりませんよ。」
ジジイ:「冗談じゃないヨ。こっちは材料費だってかかってんだ!」
 方針変更。
私:「あのね、大体オタクは株式会社を名乗っているけど違うじゃないですか。工事だって満足にできないし、建築業の認可だって受けていないの知ってるンですよ。」
ジジイ:「会社は経理の都合で抹消した。」
 ウソである。会社であったことは一瞬たりともない。
私:「なんにしても、うちの工事をしたときは会社じゃないのに株式会社を名乗っていたわけですよ。ここについては明らかにそちらに非があるわけですよ。」
ジジイ:「そんなのしらねえ。残金はらわねえんならこっちも弁護士に相談するヨ!」
私:「まあ、それは勝手に相談してもらえばいいですけど...」ブチッ(電話切れる音)
 切られた。ああ、虚しい。なんというか、これほど不誠実かつ知能程度の著しく低い生物を相手に、誠意をもって合法的な手段で望むのが大変バカらしい。相手には、こちらの声は聞こえても話しは届いていないのである。

 が、家内は私よりも根気強く誠実に、ジジイの人間性を信じようとしている。
 家内はジジイの事務所に連絡をいれ、留守番電話にメッセージを入れた。極めて常識的な内容を子供に噛んで含めるようにふきこんだ。それでもやはりジジイからはなんの反応もなかった。

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