2001.4.17

第二部〜訴訟編〜 その13

◆虚しき仮差押え

 11月29日(水)に簡裁から電話が来た。
 担当書記官から第一回口頭弁論の日付が2001年1月19日になったという連絡である。
 「口頭弁論」って言うんだぁ。へ〜。
 ついでだったので、訴状の内容変更について聞いてみる。賠償額にフェンス代を追加するためだ。しかし、彼女(担当書記官は女性なのだ)はあまりその辺詳しくないようだった。が、訴状の内容の変更ができることはわかったので例の受付相談センターに聞いてみよう。
 ところで電話がかかってきたとき、この書記官の第一声が「林哲也さんの訴訟の件でご連絡しました。」だったのだが、裁判所の者とも言わないし、私の名前も間違っている(私は拓也である)ので、最初非常に警戒した。ジジイが雇った弁護士かなんかかと思ったのだ。書記官さん、頼むから所属と名前を名乗ってから用件を話してください。ここで頼んでも無意味だが。
 
 11月30日(木)には仮差押えの結果がT銀行から届く。...虚しい。虚しすぎる。ジジイの口座にはなんと2,000円しかなかったのだ!!しかも、その2,000円も銀行からの借り入れがあるらしく押さえることができなかった。バカらしい。後になって判明したのだが、その銀行のキャッシングサービスを利用するためだけに作ったものらしい。供託金を預けている分バカらしいので近いうちに仮差押えを取り下げよう...と考えていたのだが先日まで色々手続きやら書類の作成などで疲れていたので後回しにする。仕事もあったし、余った時間はちょっとはストレス解消に使うことにしよう。
 
 そんなある日(日付失念12月10日前後だったと思う)、今度は簡裁の保全係から電話が来た。
 “なんだろう?”と思っていると、仮差押えの決定正本が債務者(=ジジイ)に送達できないので、休日送達の申請を出して欲しいということだった。少々説明をすると、決定正本などは相手(やその家族)が直接受け取らないと自分の意志が通ったことにならない。平日留守などで送達できなかった場合には、休日に届ける手続きを債権者が申請することになる。しかし、それには申請書を作ったり、郵便切手を納めたりしなければならないということである...。
 だが!私の仮差押えは事実上空振りなので、当然ながらこれ以上労力も費用もかけたくない。私はその旨伝えて、仮差押えも取り下げるつもりだと伝えた。
 が、お役所は融通がきかない。それでも休日送達の申請をしてくださいと言ってくる。私はしたくない。さて困った。私は素直に聞いてみた。
私:「もし、しらばっくれて申請しなかったらどうなるのでしょう?」
保全:「...え〜と、仮差押えの手続きが完了しないので、後日供託金の返還の際問題が発生すると思います。」
 ...しかたないか...。
私:「なるほど。申請しなきゃならないようですね...。で、それでも届かなかったらどうなるのです?」
保全:「それでも届かなかったら付郵便(書留)での送達を申請してもらうことになります。これは、裁判所から発送した時点で送達が完了したものとみなされます。」
 なるほど。保線係の人に、申請書に書くべき内容をかいつまんで教えておいてもらう。そしてさらに衝撃の(いや、それほどでもないのだが)事実を知った。仮差押えの取り下げは、その理由となっている債権が確定しないうちはできないようなのである。つまり、私の場合は訴訟で勝訴判決を受けないと仮差押えの解除と供託金の返還を行えないのである。私の状態は滑稽である。ジジイの預金を押さえることができなかった上に、供託金の20万円は私の訴えが認められなかった際にジジイへの損害賠償金となるべく法務局に納められたままなのだ。これでは、私が私の金銭をジジイのために押さえているというようなものだ。見事な自爆といえよう。所詮素人のやることで、ヘッポコと呼ぶにふさわしい。「ああ、オレって奴ァ...」と遠い目でつぶやくのがお似合いである。
 
 決定正本については、ジジイが何らかの意図により受け取らないのが明白なので付郵便の申請まですることになるであろう。まったくもって面倒くさい。
 待てよ。ということは訴状についても同じことをするハメになるのではないだろうか...。

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