2001.5.9

第三部〜回収編〜 その3

◆思いがけぬ収穫

 判決確定証明ができるのを待っている間、行方不明のジジイについてはホトホト困った。調査会社に依頼しても十万単位の料金を支払うことになりそうだし、見つかったからといって確実に回収できる見込みが立っているわけでもない。ジジイの娘と思われる人物の現住所が判明しても電話番号がわからなければあまり意味はなさそうだ。弁護士だったら戸籍謄本を取ることができるのでその辺からたどれそうだが、弁護士を頼んでも回収できなければ支出が増えるばかりだ。
 
 いい知恵も思い浮かばないので3月7日(水)に何度目かの有料法律相談に出かける。結果はこれといった収穫もなしである。相談相手の弁護士さんは申し訳ないと思ったのか「よく勉強されてますね」などとオホメの言葉をかけてくれた。が、なんの足しにもならない。
 関係ない話だが、有料法律相談などのように単位時間いくらみたいなものを利用する場合、始まった時刻をチェックしておくことに気をつけたい。「当たり前のことだ」と思われるかもしれないが、結構忘れがちである。以前近所でマッサージを受けたとき、60分コースだったにも拘らず45分コースと勘違いされて損をした経験がある。開始時刻をちゃんと確認しておけばよかったと悔やんだものだ。
 
 翌3月8日(木)に判決確定証明が出来たという連絡が担当書記官から入る。週明けの早いうちに取りに行く旨伝える。
 週が明け、3月13日(火)に用意すべき書類を用意し裁判所に出かける。しかし、疑問が生じる。債権仮差押取下申請書の送達先のことである。今までの例からすると送達できなかったら付郵便の申請をしてきたが、その際送達先に居住していることを示す調査書を作らなければならなかった。しかし、今回は居住している様子がないのだ。まあ、考えていてもわからないので保全係で聞いてみることにしよう。
 裁判所につくとまず担当書記官のところに行き判決確定証明を受け取る。その後保全係で書類をチェックしてもらったのだが、肝心の判決確定証明に判決が確定した日付が書き込まれていない。“エエイ面倒くさい!”と思いながら担当書記官のところに日付を入れてもらいに行く。保全係のある民事8室は6階で、担当書記官のいる民事1室は4階なのでエレベータを待つが結構じれったい。
 担当書記官に日付が入っていない旨伝えると、大変恐縮しすぐに書き込んでくれた。ちなみに判決が確定した日付は3月8日だった。
 
 さて、今度こそ書類が揃い、仮差押えの取り下げ及び供託金の返還に関する申請を行うことができた。その際気にかかっていた送達先の件、つまりジジイが逃げて行方不明になったらしいことを相談した。事務員の回答は、とりあえず今までの住所に送達するけれども届かない可能性があるから住民票を取るなどの調査をしておいてくださいとのことだ。ヤレヤレと思いながらも供託金20万円の返還のためだ帰りがけにジジイの住民票をとることにしようと考える。しかし、普通に考えればせっかく逃げるのにわざわざ住民票を変更するとも考えにくい。まあ、供託金の返還のプロセスとして割り切ろう。
 供託金の返還については、この後以下のような順序で行うことになる。
 仮差押えの取り下げが完了し、供託原因消滅証明書を発行してもらう。その後、供託原因消滅証明書と法務局で供託金を納めたときにもらった供託書を持って法務局に行き返還してもらうことになる。
 
 さて、裁判所からの帰りにみたびジジイの住民票を取りに行く。前述のようになんの期待もせず住民票を取ったのだが、思わぬ収穫があった。ジジイの転出先の住所が書いてあったのだ。住所を見ると茨城県鹿嶋「市」で××(ジジイの娘と思われる人物の苗字)方となっている。これでジジイの現住所がわかっただけでなく、「ジジイの娘と思われる人物」がやはりジジイの娘であろうことがほぼ確定的になった。思いがけず前進への有力な手がかりを入手できた。電話番号がわかればなおよいのだが...。

Previous << 3 >> Next


このサイトへのご意見・ご感想は[takuya@haphands.com]までお願いします!