2001.5.31

第三部〜回収編〜 その10

◆相手方弁護士の本性1

 ひとつ「策」を考えた。かなり無理があるように思うのだが、何もしないよりはよいだろう。その策は以下のようなものである。
 
 相手方弁護士から債権者名簿をもらい、債権者と債権額を確認する。おそらく金融機関や貸金業者が多いだろう。その中の大口の債権者に連絡を取り、ジジイが会社経営者としての立場で借り入れをしていなかったか確認する。もし、そういう事実があればその債権者に免責取り消しを求めて訴訟を起こすなりしてもらう。ただ、金融機関や貸金業者ならそれなりの信用調査をしていると思われるので、ジジイが会社経営者として借り入れを申し込んでいたらきっと調査にひっかかり、貸していないようにも思う。しかし、バブル期の借金ならろくに調査をしていないかもしれない。
 ともかく、そんな可能性に期待し、大口債権者であろうどこかの貸金業者に動いてもらうという策だ。これなら、小難しいことは大口債権者(や、その担当弁護士など)がやるだろうし、私はエネルギーもコストも消費しない。もちろん、例によって実際にそうしようということではない。あくまでも相手方弁護士との交渉の材料だ。
 
 さて、そんな策を考えた上で3月16日に相手方弁護士に連絡をする。相手方弁護士がでる。
私:「債権者名簿を見たいので、FAXででも送っていただけませんか?」
弁護士:「債権者名簿?そういうのはお渡ししないことにしているんですよ。
“ナニ?”
 どうも、この弁護士はこちらの考えているとおりに動かん。弁護士を相手に回すというのはこういうことなのだろうか。
私:「え?どうしてです?」
弁護士:「そういう義務はありませんから。
 腹が立つ。私は破産した債務者が債権者に対して情報の開示義務があるのか知らない。ので、強く言うことができない。もちろん社会常識から言えば見せて当然だろう。しかし、相手が弁護士であえて社会常識を無視している以上、法的根拠を示さねば債権者名簿を見せてもらうことはできそうにない。
 とりあえず、例の話をしてみるか。
私:「他の債務者の方々は、K工務店の件はご存知なんでしょうか?」
弁護士:「『K工務店の件』と言うと?」
私:「K工務店が株式会社を偽称していることですよ。」
弁護士:「知ってるでしょ、そんなの。会社じゃないのに会社を名乗って仕事してるとこなんてそこらじゅうにあるでしょ。
 そこらじゅうにないだろう。アンタ(相手方弁護士)がそう考えているのであれば、それはアンタがそんな会社からの依頼ばかり受けているということなのだろう。この弁護士の本性が現れてくる。
私:「なら他の債権者に連絡を取って確認してみますよ。とりあえず、私が仮差押えしたT銀行が債権者であることはわかっていますから。」
弁護士:「やればいいでしょう?間違いなく知ってますから。」
 ううむ。交渉にならない。失敗のようだ。が、この後の一連の会話でこの弁護士ちょっと信じられないことを言い出してくるのである。
 相手方弁護士との会話次回に続く。

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