2001.6.25

第三部〜回収編〜 その12

◆事件記録閲覧申請

 相手方弁護士との電話はまったく予想外の展開になり、支払いの交渉などはできなかった。それにしても、どうも相手方弁護士の対応は奇妙だ。「ストーカー防止法」だの「サラ金規正法」だの誰が考えても無理がある。相手方弁護士がこんなことを言ったのは、端的に言えば恫喝して債権回収を諦めさせる意図からであろう。なぜ、話し合いのような正当な手段をとらずに恫喝をしたのか。これは相手方になんらかの弱みがあるからに違いない。弱みがあるということは、こちらがその弱みを正しく把握し、うまく突いていけば光明を見出すことができるかもしれない。
 などとムリヤリ希望を持ってみたわけだが、以前も書いた通り破産とか免責とかいうのは素人の私では難しすぎる
 そういえば学生のときに「破産法」という科目があったなぁ...。あのころの教科書ってどこにやったのだろう...。卒業と同時に売っちゃったんだっけ...。忘れたなぁ...。
 ...いつの間にか遠い目になっていた。軌道修正。
 ともかく情報が欲しい。できれば他の債権者から話を聞きたい。さらにできれば他の債権者の担当弁護士と話したい。しかし、他の債権者はわからない。考えた結果、ジジイの破産申立書類を閲覧できないか調べてみようと思う。
 翌3月16日に裁判所に電話を入れ、破産に関する部署に回してもらい聞いてみる。すると、ジジイと代理人である相手方弁護士の名前を聞いてきたので伝えると、事件番号を教えてくれた。この事件番号を裁判所(今回の場合は東京地裁)の記録閲覧室で伝えれば閲覧できるようだ(利害関係のある当事者のみだと思う)。
 この時点で午後3時前だったので「ちょっと遅いかな?」と考えたのだが、この日は金曜日だ。週明けまで待つのがはがゆかったので頑張って裁判所まで行ってみることにする。
 東京地裁の14階にある記録閲覧室に行き、係員に尋ねて申請用紙に記入する。その後係員に事情を尋ねられたので簡単に経緯を述べると、判決(私がジジイ相手に起こした訴訟の)の確定証明が必要とのことである。以前、空振りした仮差押えの取り下げにも必要だった書類だ。あれをコピーしておけばそれでよかったのだが、コピーがないのでまた新たに申請しなければならない。ああ、メンドウクサイ。
 
 判決の確定証明は簡裁で申請するので、お隣りの簡裁に行き地下で申請時に必要な150円の印紙を購入し、担当部署に行く。ここで、以前裁判のときにお世話になった担当書記官に申請するのだが、このとき私の横でちょっと面白い男性が別の書記官(係員?)と話しているのが目に入った。
 「面白い男性」というのは、両手の爪が10cm〜15cmほどの長さなのだ。爪もそのぐらいの長さになると、ねじれたりカールしたりして不便そうである。その上、声が妙にカン高くしかもかすれていてなかなかのインパクトがある。
 とりあえず、この男性のことは意識から押し出して担当書記官に判決の確定証明を発行して欲しい旨伝える。本来なら申請書を自分で作成して提出するのだが、私は以前の経験で申請書のフォームが存在することを知っていたので、それももらえるようお願いした。フォームがあれば必要な空欄を埋めて印紙を貼って印鑑を押せばその場で申請手続きが完了するので便利なのだ。担当書記官はすぐにフォームを持ってきてくれたので、私は必要事項を記入していた。そのときである。
 先ほどの「面白い男性」がこちらを見て、係員にカン高い声で「ああいうのあるンじゃない。あれでいいンでしょ?」といい始めた。係員は「イヤ、一応作っていただくことになっているんですよ。」などと抗弁している。どうも、私のせいでアチラでは係員が困ったことになったようだ。
 私は担当書記官に「どうもこっちのせいでアチラがピンチになったようですが。」と言ってみると、担当書記官は苦笑いしながら「いいんです。いいんです。ほっといてください。」とのことである。私はアチラの係員に心の中で「スマヌ」と詫びながらほっとくことにした。無事こちらの申請は完了し、ほどなく発行してくれた。アチラのことはほっとくことにしたのでどうなったかはわからない。
 
 確定証明を持って再び地裁の記録閲覧室に行ったのだが、タイムリミットでこの日の閲覧は失敗である。まあ、しかたない。週明けにまたくるとしよう。しかし、この記録室の係員もわりとコワモテだったのだが、結構親切に応対してくれた。

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