2001.9.6

第三部〜回収編〜 その14

◆膠着

 破産申請書類の閲覧の数日後、3月21日にまたジジイの転居先=オバサン宅に電話をする。
 相手方弁護士は交渉に応じるどころか、恫喝して私に債権をあきらめさせようという意図が明白である。さらに債務者側にどんなに非があろうとも雇われているだけの立場なので良心の呵責を感じるはずもない。なので、相手方弁護士を相手に支払いの交渉をすることは時間の無駄である。それ故オバサンに電話をすることにしたのである。
 オバサンに電話をしたらまた相手方弁護士が何か言ってきそうだが、私は法的にも常識的にもやましいことは全くない、という揺るぎない自信があるのでその点は一向に構わない。
 とはいえ、私もいい加減この騒動を終結させたいので債権額の減額・分割での支払いなど相手に了承しやすいようにいくらか譲歩するつもりである。
 
 オバサンが電話に出る。
 ...いつもならここで会話調の書き方をするのだが今回はやめておこう。会話調で書いていると、実際に電話で話をしていたときのことを生々しく思い出して大変に虚しくなるのである。しかも、今回のオバサンとの電話では特筆すべき発言もないのだ。
 結局、オバサンは頑として「払わない」と言い続けるのみである。「支払い義務がないから払う必要はない」、「お金がないから払えない」という内容だ。その態度・物腰は全く悪びれることなく、それどころか、どうにもナゼかエラそうなのだ
 私はもう本当にこの一件に形をつけてしまいたいという気持ちなので(かといって債権を諦めるのは業腹なので)、債権額の減額・分割での支払いなどを提案しオバサンに支払いの肩代わりをお願いした。ちなみに、以前も述べたがオバサンは直接的な債務者ではないので請求はできないので、不愉快ながらも「お願い」することになる。
 わかっていたことではあるが、オバサンは支払う義務もないしお金もないので払えないという主張を繰り返すのみである。
 普通に考えれば、誠意があれば毎月5千円〜1万円ぐらいはなんとかできると思うのだが(というか、弁護士を雇う余裕があるのでその程度なら楽勝だと思う)、それも無いと言う。こうなると(というか再認識させられたと言ったほうがよさそうだが)、どう考えても債務者側は「踏み倒す」という堅い意志をもっていると見るのが妥当であろう。
 またもや私は不愉快な気持ちで電話を切ることになる。
 
 「どうしたもんかなぁ・・・。」などと口をついてでてくる。なかなかワビシイものがある。
 しばらく何をするでもなくワビシイ時間を過ごしていたら電話が鳴り出す。ピンと来た。相手方弁護士からのクレームだな。マメなことだ。正直、出るのが物憂い。
 が、ここは出ておかなければ何も進展しない。特に、相手方弁護士は少々頭が悪いのか、弁護士という職業に驕りがあるのか、必要以上に激しい言葉を使ってくる。場合によってはその暴言が事態を動かすものになるかもしれない。
 電話に出るとやはり相手方弁護士である。電話機の録音ボタンを押して録音開始。
 
 相手方弁護士は、オバサンには支払い義務がないのだからオバサン宅に電話をするな、自分が債務者の代理人なのだから用があれば自分に連絡しろ、という旨のことを言う。
 ふむ。その部分だけ聞けば正論だ。
 しかし、コトの経緯というものがある。そもそもこちらは、ジジイの天下一無様な工事で損害を被り、訴訟で勝訴を勝ち取ったらジジイは雲隠れし、それをやっとの思いで探し当てて連絡をとったらアンタ(相手方弁護士)の罵倒をあびせられているのだ。そんなコトを言うのは一言でも詫びを入れ、支払いについての交渉を始めてからにしなさい。アンタの言うことは社会人としては到底通用するものではない。
 今回の弁護士との話はやや面白いので、次回までに気力の回復をはかって会話調でいってみようと思う。

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