2001.3.9

子供について その2

◆呼吸停止

 長女は1歳になったばかりの4月に保育園に入園したのだが、子供たちがそれなりにたくさん集まるので病原菌も多い。よって、子供が病気になる機会も家にいるよりは多いのである。実際最初の1年はよく熱を出していた。しかも体質なのか高い熱が出た。しょっちゅう39度から40度クラスの熱をよく出していた。しかし、例えば風邪なら風邪で、病気になって治ってそれを繰り返すことによって免疫ができ、抵抗力がついていく(と思う)ので保育園に通うことで病気にかかる機会が増えること自体はどうということもない。

 一般に子供はわりあい熱に強いのだが、このぐらいの高い熱がでるとさすがにグッタリする。普段異常に元気で騒がしいだけに痛々しい。しかも、まだ幼く言葉がままならなかった時期などはどんなふうに具合が悪いのかなかなかわからないし、様子がわかっても「そういうときはこういう風にすると楽になるよ」といったアドバイスが届かないのでもどかしい。

 1999年の1月、月齢でいうと1歳10ヶ月のときに長女は救急車に乗った。
 この日は土曜日で長女は体調を壊しており、やはり高い熱を出していた。私はこの日、高校時代の友人たちと十数年ぶりに会うことになっていた。長女の体調のこともあり出かけることにためらいがあったのだが、家内が勧めてくれたので出かけようと思っていた。
 まだ時間に余裕があったので、いすに座り長女をだっこしながらテレビを見ていたときである。
 ビクッビクン
 と、だっこしている長女がケイレンしたのだ。目を見開いたまま硬直している。呼びかけてもほっぺを叩いても反応がない。どうやら「ひきつけ」というものらしい。
 “呼吸をしていない!!
 そう感じた私は、家内に119番するよう伝えた。
 その間私は長女の鼻をつまんで人工呼吸を試みるが、サイズがあわずうまくいかない。その間、家内は119番に症状、住所などを伝え対処を聞いている。と、119番から質問を受けたらしく家内が、
 「呼吸はしている?」
 と聞いてきた。私は“していない”と思っていたが、どうやらそれを認めたくない気持ちもあったようで、
 「よくわからないが、していないみたいだ。」
 といったような歯切れの悪いことを言ってしまった。家内が119番に伝えると、119番のアドバイスを受けた家内が鼻と口を一変にふさいだ人工呼吸を長女に施し始めた。程なくすると、長女は呼吸を再開した。本当にホッとした。

 その後救急車が到着し、3人で病院に向かう。当然旧友の集まりどころではない。
 病院でも意識はあるようだが、朦朧としているのか医師の問いかけにも私や家内の問いかけにも答えが返ってこない(長女は1歳10ヶ月のこの時期には言葉もかなりしゃべれるようになっており、普段はわりあい普通に日常のコミュニケーションはできていた)。脳に障害でも起こったのでは?と心配がよぎる。とりあえず、熱さましだかひきつけ予防だかの座薬をいれてもらい、しばらく時間を置いた後にもう一度診てもらうことになった。
 その間長女は少しずつ常態に戻っていっているようだった。自動販売機で買った飲み物を飲み干し目に光が戻ってきた。しばらく時間が経ち、再び医師に診てもらったときには受け答えもできるようになりひと安心した。帰りのタクシーの中では「アイス食べたい」などとも言っていっておりその後2、3日で全快した。どうやらインフルエンザだったようだ。

 結局このときは、私たち親の無知により長女の容態を悪化させていたのだった。子供というのは高い熱が出ているときに暖めてはいけないのだ。子供は体の表面積が小さいので、高い熱が出たときには薄着させて全身で熱を発散する必要があるらしい。効果的なのは、額のほか、わきの下・足の付け根などを冷やすことらしい。さらに、意識して水分を十分与えるよう心がけなければならない。こういったことを事前に知っていれば、呼吸が止まったりするところまではいかなかったであろう。こういうことがあると自己嫌悪も加わり、まったくもって自分が病気になった方が100倍楽である。

 しかし、2人目の子供が生まれた後、さらに100倍ツラい思いをすることになる。

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