2001.3.19

子供について その4

◆長女の気持ち

 次女と家内のいない生活が始まった。食事については私の母に頼ることにした。
 うちは2階に私の両親が、3階に私たち家族が住んでいる。いわゆる二世帯住宅であるので、こういうときは助かる。
 とは言え、長女は家内が急にいなくなってしまったことに戸惑い、きっと随分グズるであろう。しかし、その予想は外れた。
 初日こそ「ママは?」と聞いていたが、次女が病気で入院したこと、次女だけでは何もできないので「ママ」がついていなければならないことなどを目をみながらゆっくり言い聞かせた。
私:「だからしばらくの間、○◇(長女の名前)とパパで頑張らないといけないんだよ。」
 私は“泣くかな?”と思ったが、彼女は「うん」と言った。
 
 このとき長女は2歳10ヶ月ほどであった。しかし、このぐらいの子供でも侮るものではない。キチンと話して聞かせれば何事かを悟るのか、大人が考えているよりしっかりした気遣いをするようだ。これは別にウチの子が特別エラいとかではなく、なにかの本を読んでいてもそういった話がわりあい載っているので、やはり子供は大人が考えているよりしっかりしているものなのであろう。
 しかし、その様子が健気で思い出しても泣けてくる。その後長女はほとんど全く「ママに会いたい」といったような言葉を言わなかった。
 
 家内はできる限り毎日病院から電話をしてきた。もちろん、病院の様子の報告とコチラの様子(主に長女の)を聞くためである。もちろん長女にも代わるのだが、長女はほとんどの場合「△○ちゃん(次女のこと)どう?先生、なんて言ってる?」などとまず次女のことを心配していた。それを聞いていた私も泣けてくるのだが、長女の後また私に電話を代わったら家内も泣いていた。
 
 次女の入院後の最初の土曜日に(入院は月曜日)、私が朝一で病院に行き家内と交代して家内は一旦自宅に帰ることにした。といってもまた午後8時かそこらには再度交代するのだが。
 長女と家内が会うのは5日ぶりであった。長女にとってはさぞ長い時間であったであろう。
 しかし、夜にはまた病院に行かねばならなかったので、家内は長女にそのことを伝えておいた。長女に過剰な期待を抱かせてるとあとで余計かわいそうだからだ。
 家内と長女は絵の具でお絵かきをしたり、近所の公園に行って砂遊びをしたりしたそうだ。さらに、家内がいない間にうちの中は結構ちらかっていたので掃除をしたりした。そのときも長女は一生懸命手伝ったらしい。そうこうしている間に日が落ちて暗くなってきた。
長女:「もう夜になった?」
家内:「そうね。もう暗くなってきたね。」
長女:「でも、もっとママにあいたいの。」
 長女はなきそうだったそうだ。この日一日長女はオリコウにしていたそうだ。おそらく彼女なりに気持ちの張りが切れるのをこらえていたのではないかと思う。それでも「ママ」と離れなければいけない時間が近づいてきたときにわずかに本当の気持ちが表に現れたのであろう。
 家内は長女がかわいそうで、かわいくて泣けてしょうがなかったそうだ。
 もしかしたら次女の入院で一番シンドイ思いをしたのは長女かもしれない。
 これを書きながら私まで泣けてきた。読んでいる方はシラケそうである。

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