2001.3.30

子供について その6

◆性格の違い

 これまで書いてきた通り、うちにはふたりの子供がいる。このふたりは性格が随分ちがうようで見ていてなかなか面白い。今回はこの辺のことを書いてみようと思う。
 以前も多少触れたが、再び生まれて半年頃のふたりの様子を思い返してみよう。
 
 その頃の長女の印象は「よく泣く子」だった。長女は私たち夫婦にとって初めての子供だったので、余計そう感じただけなのかもしれない。というのは、長女は確かによく泣いていたのだが、決してむやみに泣いていたのではないということがわかったからだ。つまり、おなかがすいたときやのどがかわいたとき、だっこして欲しいときや暑いとき、といったように何かして欲しいときに泣いていたのだ。
 それにしてもかなり激しく泣いたりしていた記憶があるのだが、さらに思い起こしてみると長女は「泣く」だけでなく、よく笑ったり喜んだりもしていたようだ。その辺を考え合わせると、感情の量が多い子という方が適切なのかもしれない。
 
 さて、長女はこの文章を書いている時点で4歳になったばかりである。やはりよく泣き、怒り、笑い、いばり、甘え、怖がり、心配し、と感情の量の多さが目立つ。しかし、最近私がよく感じるのは、子のこのマジメさというか線の細さである。
 長女は親に叱られると、痛々しいぐらい重く鋭くその言葉が胸にささるらしく、大抵の場合泣きながらその言葉に従う。私はもしかしたら子供から見ると口うるさい父親なのかもしれないが、理不尽なことでしかることはない(と自分では思っている)し、「叱る」ことはあっても腹を立てて「怒る」ということはほとんどない(と自分では思っている)。その上叱った後は、子供をギュッと抱きしめて頭をなで顔を見てニッコリして「オッケー」などと言ったりもする。自分では万全のケアだと思っているので、子供が傷つくようなことはなさそうに考えていたのだがそうでもないらしい。
 
 例えばこんなことがあった。ある日、デジカメで撮影したデータを数枚プリントアウトした。私が使っているプリンタのインクは耐水性が低いため、プリント面を直接触られることに弱い。その「写真」を家内が長女をひざの上に乗せて一緒に見ていた。家内は見終わった写真をテーブルの上に順番に置いていき、全ての写真を見終えたときに長女が写真に手を伸ばして「そろえてあげる」といった。
 私は“えらいな”と思いつつ見ていたら、この写真の弱点を知らない長女は表面をベタベタ触っていた。
 「ちょっと待った!絵が描いてあるところは触らないでくれ!」
 私が言うと長女はすぐ手を引っ込めて、一瞬の後涙がにじみ始めた。“またやってしまった”軽い後悔が沸き起こった。長女としてはよかれと思ってやったのに叱られて(イヤ、別にこのときは叱ったわけではないのだが、長女としてはそう受け止めたであろう)、自分が否定されたような、どうしてよいかわからないような気持ちだったのだろうと思う。けれどもともかく私の言うことに生真面目に従ったのだ。
 しかも長女は普段あまりによく泣くので、「あまりすぐ泣かないように」としばしば注意されている。このとき、その言葉もできるだけ守ろうとしているらしく必死に涙と泣き声をおさえようとしていた。
 私は長女にあやまり、写真の弱点を説明し、揃えてくれようとしたことにお礼を言った。少々繊細すぎるようにも思うのだが、世の政治家・官僚や、身近なところでは私が訴訟問題で争っている相手たちなど、悪い方にズブトい大人のことを考えると、まあいいかなという気になってくる。
 
 次は次女のことを書いてみよう。
 次女は生まれて半年頃は非常に手がかからない子という印象だった。というのは、よく寝る子でだっこなどしなくても置いておけば一人で勝手に寝るので楽だったのである。第一子と第二子の違いであろうか、それとも生まれ持った性質の違いか、姉妹で随分違うものである。次女は穏やかでおっとりした性格のように思っていた。が、1歳10ヶ月を経た現在どうやらそうではないということがわかってきた。
 
 次女は芯が強いようである。どうも自分勝手といってもいいように思う。生後半年頃の印象と随分違うのだが、どうやら生後半年頃は「自分勝手に寝ていた」だけなのかもしれない。色々動けるようになっていくにつれて自分勝手にしたい事柄が増えていっているのであろう。
 ある晩の食事のときに、家内が次女の茶碗の上に次女が欲しがっていたオカズを乗せてあげていたのだが、見ていると次女はご飯は食べずオカズばかり食べていた。家内が注意しても次女は構わずオカズだけ食べ続けていた。私も見かねて次女を叱ることにした。
私:「◇○(次女の名前)っ!!」
次女:びくうっ
 次女は怖いもの知らずなのだが、怒った私のことだけは怖いのだ。が、オカズから手をひっこめはしたものの不服そうな顔で私をにらみつづけている。
私:「ご飯も食べなきゃダメでしょ!!」
次女:うぐぐぐぐ
私:ぎぎぎぎぎ
次女:うぐぐぐぐぐぐぐぐ
私:ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ
 数秒間次女と私のにらみ合いが続く。なにやらマヌケといえばマヌケである。
 次の瞬間次女は涙をこぼしにらみ続けながらご飯とオカズを口にいれた。手づかみで...。
 私の勝ちである。
 
 さて、このふたりの子供たち、この先どうなっていくことやら。

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